WEB-PM

2021/1/21

優秀な会社に依頼したかったらコンペ形式はやめたほうがいい理由

INDEX

Webサイトやシステムなどを新規構築やリニューアルする際にはコンペ形式で依頼先を選定するケースが多いですよね。

何社かに提案してもらって、1番良かったところを選ぶということで良い会社に頼めそうな感じがしますが、実際にはプロジェクトが上手くいかない、期待していたものができないといったケースが多くあります。

コンペにはできるだけ参加したくないのが本音。

コンペに参加するためにはオリエンを受けて企画書を書き、デザイン案をつくってプレゼンの準備をするので、そこには多くの工数(経費)がかかります。

そして提案をしたからといって受注が確約されているわけではありません。そうなると受託側はその労力や失注するリスクを鑑みても受注したい仕事なのかという判断をします。

つまり発注先を選ぶ前に選ばれていることになります。さらに良い会社ほどリピーターや指名発注で仕事が埋まっているケースが多いので、良い会社がコンペに参加してくる可能性は低いのです。

なので、予算規模の大きな案件や制作会社としても実績にしたい魅力があるような場合以外はコンペ自体が得策ではないと言えるでしょう。

それでもコンペをしなければいけない場合は?

そうは言っても社内都合などでコンペにしないといけないケースもありますよね。そんな時のためにコンペの場合でも良い会社に出会えるようなポイントをおさえていきましょう。

まず1番重要なのはコンペフィーを用意すること。コンペフィーとは発注をしてもしなくてもコンペ参加の対価として支払う費用のことです。(発注にいたらなかった企業のみに支払うというケースもあります。)

もちろんコンペフィーを出さなくてもコンペは開催できますが、参加側のハードルがあがりますので、良い会社に参加してもらえる確率が下がります。

RFP(提案依頼書)は何を競うのかを明確にする。

提案を依頼するためにはRFP(提案依頼書)の作成が必要です。しかし、この時に起こりがちなのが「今回のプロジェクトは◯◯といった目標・目的なので、そのために良いと思うアイデアを提案をしてほしい。」というもの。

自由演技の幅が大きいと各社は自社の得意領域を中心に提案してくるので、比較のできない提案が集まってしまいます。コンペはアイデア集めではなく、セレクションやオーディションだと思って実施するのが成功のポイントです。

例えば、4番打者を見つけたい場合と抑えのピッチャーを見つけたい場合の選考基準が変わるのはイメージつくと思いますが、これがコンペになると「試合に勝ちたいからなんか身体能力が高くて活躍しそうな選手が欲しい。できたら戦術も提案して欲しい。」という感じになってしまうケースが多いのです。

なので、コンペの依頼をするためにこのプロジェクトにはどんな選手(パートナー企業)が必要なのかを考える必要があります。

ブランディングを重視するので高いデザイン力が必要なのか、大量ページを制作できる組織力が必要なのか、指定された開発環境に経験値の高いエンジニアが必要なのか。

これらをリストアップすることではじめて何を比較すべきなのか、そのためにどんなアウトプットを依頼するのかを明確にすることができます。

デザインコンペは百害あって一利なし。

もちろんデザインコンペ自体を否定するわけではなく、Webプロジェクトでのパートナー選定に限った話ですが、提案要件にデザイン案の提出を求めるのはあまりお薦めしていません。

私もRFPの作成やコンペの実施をサポートさせてもらうことがあるのですが、基本的にデザイン案の提出は避けるようにアドバイスしています。

理由としては選定の際に各自がデザインの好みに引っ張られ、それによって他の項目が過大評価されたり、度外視されてしまうなどのバイアスがかかり、正しい選定ができなくなる可能性が高いからです。

自分の会社のWebサイトをどんな風にデザインしてくれるのか見てみたい気持ちは分かるのですが、まさにその期待値が裏目にでてしまうのです。

また実際の例では社長がデザインを気に入った会社に鶴の一声で決定してしまい、現場が本意でない企業に発注がされたなんてこともありました。

もう1つは提案デザインからその会社の技量を読み解くのは難易度が高い点。情報設計力を測りたければワイヤーフレームの方が適しているし、デザイン力が知りたければ担当デザイナーのポートフォリオを提出してもらった方が分かりやすいです。

さらにいろいろ見たいからと複数案の作成などを必須要件にしてしまうとこれはコンペの参加を敬遠される理由にしかならず、発注側にはあまりメリットはありません。

担当のプロジェクトマネージャーには必ず会おう。

デザインコンペは薦めないと言いましたが、逆に必ずやったほうがいいと言っていることはプレゼンに担当のプロジェクトマネージャー(ディレクター)の参加を必須にすることです。

理由のひとつはコンペではベテランやエースが出てきて、いざ受注したら経験の淺い違う人が担当になるといったケースがあること。

ふたつ目はどんなにデザイナーやエンジニアが優秀でもプロジェクトマネージャーに不安を感じる、信頼をおけないプロジェクトは失敗する可能性が高いことです。

チェックポイントとしてはまずは人としての相性があうか。そんな個人の主観で決めてしまっていいのと思うかもしれませんが、これから一緒のプロジェクトチームで共通のゴールを目指すのですからこれは重要です。

またこれはプレゼン前後での判断になりますがレスポンスの速さです。もちろん何でも即レスで返せというわけではないですが、時間がかかるものはその旨を一報くれる、期限の目安を示してくれるなど体感的に遅さを感じさせないことができる人は優秀なプロジェクトマネージャーである可能性が高いです。

でも、やっぱりコンペはおすすめできない。

このような観点で考えていくと良い会社がコンペに参加してくれて、優秀な担当者に出会える可能性はかなり低いと感じたのではないでしょうか。

もちろんゼロとは言いませんが、私の過去の経験の中でも数えるほどしかありません。

なのでパートナー選定におすすめな手順としては、まずは社内でパートナーに求める条件をすりあわせて明確にすること。そしてそれを元に信頼できる人に紹介してもらったり、実績や評判などから期待値の高い会社に問い合わせて面談するなどして少しでも多くの会社に会うことです。

地道で大変な作業ではありますが、そうやって信頼のおける優秀なパートナー企業を増やし、関係を構築していくことで、強い味方が増えて事業の成長に大きく役立ってくれるはずです。

WRITER

  • Twitter
中村和正

Web-PM講座主宰。株式会社gracenote代表取締役

Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運⽤⽀援を⾏うほか、⾃⾝がプロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。
著書に[買わせる]の⼼理学 消費者の⼼を動かすデザインの技法(エムディエヌコーポレーション)。そのほか寄稿、セミナー登壇など多数。

記事一覧をみる
PMBOK準拠

Webサイト、システム構築プロジェクトに最適化したプロジェクトマネジメントを学ぶ

Web-PM講座

2⽇間の講義と演習でWeb-PMを学ぶ講座。すぐに使えるドキュメントテンプレートも提供される実践的講座。

詳細を見る