INDEX
前回はこちらの記事で「Web-PM講座」の開催に至った経緯を書きましたが、今回はWebプロジェクトマネジメントについてもう少し詳しくお伝えしていきたいと思います。
そもそもプロジェクトって何?
PMBOKの定義によれば「プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」とあります。つまり何らかのゴールに向かって遂行される終わりのある業務ということになります。
これはWeb領域に限ったものではなく、「オリンピックを開催する」「ビルを建築する」といったものもプロジェクトと言えます。そしてPMBOKはそうした様々なジャンルのプロジェクトに通用する知識体系となっています。

これは汎用性に優れている反面、業界や業種を絞った際には、ややアンマッチな部分があったり、概論としては理解しても具体的に何をすべきかが分からないという事が起こります。
そこでWebサイトの制作やシステム開発などのWeb領域のプロジェクトに最適化させたものを「Webプロジェクトマネジメント」として整理をしました。
例えば、PMBOKにはリスク管理やスコープ管理といった領域がありますが、Webプロジェクトを管理する場合は、
- 「デザインの工数が流動的になりやすいこと」
- 「Webブラウザや端末をどこまで対応するかのスコープを決めておくこと」
などを知っておくことが重要になります。
そういったポイントを抑えていないとリスク管理やスコープ管理を理解していても、Webプロジェクトでは足元をすくわれてしまう可能性があるのです。
それはWebディレクションとは違うの?
業界を見渡してみると「Webディレクター=Web案件において幅広い業務を担当する人」という感じで、企業によってWebディレクターの業務範囲はかなり幅があります。
進行管理はもちろんですが、自分で手を動かしてデザインやコーディングをしてるWebディレクター、営業から入金管理までやっているWebディレクター、インターネット広告の運用やSEOをやっているWebディレクターなど、ひと口にWebディレクターと言っても業務範囲がまちまちなのです。
つまり結果的にプロジェクトマネジメントをするポジションにはいるが、プロジェクトマネジメントについて専門的に学んでない事が多いという状況が多いです。

そして業務範囲の広さに業務過多になったり、器用貧乏になったり、偏ったスキルを持った人材になってしまっています。実際に私も「Webディレクターをやっているけど、このまま同じことを数年やるのは不安。どのようにキャリアを形成したら良いか悩んでいる」という人に多く出会っています。
みんなにWebプロジェクトマネジメントを学んでほしい。
プロジェクトマネジメントを学ぶという事は、スポーツで言えば十分な筋力とスタミナをつけて、正しい体の動かし方を身につけるのと同じようなイメージです。
実際の試合では、練習通りに運ぶわけではなく常に咄嗟の判断や動きを求められます。その時に体ができていなければ、正しい反応はできず、無理をしながら対処をしていたら、どこかで故障してしまうでしょう。
つまりプロジェクトマネジメントを身につけておくことで、どんな状況でも正しい対処ができて、案件を炎上させたり、自分が潰れたしまったりすることを回避できます。そして、「Webプロジェクトマネジメント」はWebディレクターに限らずWeb領域で仕事をする全ての人たちにとってベースとなるスキルであると思っています。
Webデザイナーならより品質の高いデザインを、エンジニアならよりパフォーマンスが高く、使い勝手の良いシステムを作りたいと考えているでしょう。「Webプロジェクトマネジメント」のノウハウを身につけることで、企画や戦略、デザイン、システムなどにそれぞれが自分のこだわりたいところに使える時間を手に入れられるのです。

例えばサッカー選手であれば、スタミナ・筋力の必要ないポジションはありませんよね。
まずは90分走り続けて、基本のプレーを安定してこなせる事ができてはじめて、自分の目指すポジションやプレースタイルのための技術や知識を身につけていくことができるようになり、より良い選手になっていけるはずです。
そしてそれは自分だけじゃなく、クライアントを含めたプロジェクトメンバーにも多大な価値をもたらしてくれるはずです。
Web-PM講座について
まず「Webディレクター講座」としなかった大きな理由は前述の通り、現在のWebディレクターと呼ばれる人の業務範囲が多岐にわたっているために、人によって期待する内容が違ってしまう可能性が高いことです。
そして何よりWebプロジェクトを推進することに特化したプロジェクトマネジメントを学ぶ講座ということを明確に伝えたくて「Web-PM講座」という名称にしています。

この講座は5時間×2日間の構成で、座学やワークを織り交ぜて行います。なんとなく知識をつけて終わってしまうのではなく、翌日からでも自身が携わっている案件で実践ができることを重視しています。
そうは言っても一朝一夕で身につくのものではありません。学んだことをすぐに上手に実践できるとも限りませんし、現場でしか学べないこともあります。なのでこの講座では講座後のフォローアップや継続的な情報の提供やコミュニティの形成など、受講して終わりにならない仕組みにしています。
プロマネに救われる人が増えますように。
なにより、私自身がプロジェクトマネジメントに救われた1人です。
Webディレクターになりたての時にアサインされたとあるプロジェクトは納期やクライアントからの要求レベル、関係者の多さなど、今思えば難易度の高いプロジェクトだったのですが、当時はまだ数十ページのWebサイトしか担当した経験のなかった私を含めた制作チームでは太刀打ちすることができず、徹夜・休日返上で取り組んでも決して完成度の高い成果物にはなりませんでした。

この時はこの案件が終わったら絶対に転職してやろうと本気で思い、激務のなかにも関わらず転職エージェントに登録していたくらいでした(笑
プロジェクトが終わり、冷静になったこともあって転職をすることもなく、程なくしてプロジェクトマネジメントを学び、仕事の面白さを知っていくことになるのですが、それがなければ、Webディレクターなんてやることも責任も多すぎて大変なだけと続けていなかった気がします。
そしていまそのような状況で苦労している人がいたら、この講座がひとつの光明になってくれたらと思います。
中村和正
Web-PM講座主宰。株式会社gracenote代表取締役
Webマーケティングや経営領域のコンサルティングや運⽤⽀援を⾏うほか、⾃⾝がプロジェクトマネージャーやインフォメーションアーキテクツとして数多くのプロジェクトにも参画している。
著書に[買わせる]の⼼理学 消費者の⼼を動かすデザインの技法(エムディエヌコーポレーション)。そのほか寄稿、セミナー登壇など多数。

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